和風、和モダンな外構・庭を作るために、日本庭園の伝統技法を知る「飛石」について

和風のお庭と聞いて、皆さん何を思い浮かべますか?
松、枯山水、竹林、景石、灯篭などいろいろありますよね。

京都で見るような本格的な日本庭園って、今では、個人住宅に取り入れることは、あまりありませんが、
和モダンな住宅、和モダンな外構、お庭って今でも人気が高いです。

そんな時に、「なんとなく和風な雰囲気」とあやふやなデザインではなく、
ほんの少しだけでも、伝統的な日本庭園の要素をいれるだけでもちゃんと意味があり、
デザインに誇りの持てるお庭、外構になると思います。

ということで、今日はその中でも奥の深い飛び石についてご紹介いたします。

飛び石の起源

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飛び石の起源は茶人で有名な千利休が
峠の露頭(岩石や鉱脈の一部が地表に現れている所)をみて
茶庭に取り入れられたとされています。

千利休がお庭に関わっていただなんて意外だなあと
思いますが、
日本庭園の歴史を遡ると、安土桃山時代に成長した
「茶室や露地」の存在、文化(わびさび)がその後の日本庭園にも大きく影響を及ぼしています。

建築様式と文化そしてお庭には結びつきがあるんですね。

飛び石だけではなく、灯篭、蹲踞(つくばい)の茶庭の構成要素が現代の和モダンな庭園にも取り入れられています。

飛び石の意味

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飛び石はなぜ茶庭に必要だったのか?

それは、茶室へと向かう道の間に、土や苔で履物が汚れ、
茶室に不浄を持ち込むことのないように対策として取り入れられたためです。

見た目がいいからというだけではなくこのような実用的な理由から飛び石は日本の庭に登場したのです。
造園学の中では有名な、飛石に関する二つの見解があります。

千利休「用を六分 景を四分」
古田織部&小堀遠州「景を六分、用を四分」(千利休の弟子)

飛び石を打つ時に用(歩きやすさ)と景(美しさ)をどの比率で打つべきか、説いています。
実際にこの用と景に対する二つの意見の比較を桂離宮でみることができるそうです。

どちらにしても、飛び石は、茶室にたどり着くまでに、決して、真っすぐではなく
曲がりくねり、景色、そして石の並びを楽しませることで、茶室(茶人、亭主)の世界へと誘導しているということです。

この考えは現在の、個人住宅でも同じ考えです。アプローチは玄関まで行くまでに景色をつくり、入り口が丸見えにならずに曲がりくねるのをよしとされている風潮があります。
もしかしたら日本人の飛び石の文化が、現代のエクステリアデザインまで根強く影響を及ぼしているのかもしれませんね。

反対に外国のアプローチは玄関まで一直線で見せるものが多い気がします。なので、モダンでクールな印象を与えるときに一直線で見せたりします。

飛び石の種類

次に飛び石の打ち方にはどんな種類があるのか見ていきます。

千鳥打ち

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千鳥打ちは右左右左・・・と1歩1歩の歩み通りに打つ
基本の打ち方です。

そこから次にご紹介する打ち方が派生していきます。


直打ち

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真っすぐに飛び石を据えることを直打ちといいます。

千鳥打ちを基本として、こういったまっすぐの歩みも取り入れます。

二連打ち

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右左の千鳥打ちをベースに
2個連続で真っすぐ据える打ち方を二連打ちといいます。

さらに3つ連続でまっすぐ打つ三連打ちや、二三連打ち、四連打ちなどの打ち方に派生していきます。

大曲り

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大曲り打ちは大きな弧を描くように打つ手法です。

雁打ち

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雁打ちは、3石~4石程度の石を左右にくねくねとさせた
打ち方です。

鳥の雁(がん)の群れが空を飛ぶ様子に似ている事から
この名前が付けられました。

筏打ち

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筏(いかだ)打ち
こちらは、短冊石を2枚いれることで、変化を楽しむ飛び石の打ち方です。

切石打ち

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自然形の石ではなく四角く成型された切石を用いた飛び石です。
切石は扱いやすいので、現代の庭にも多く取り入れられています。
飛び石の種類は他にもありますが、膨大な量になるため、ここら辺にしておきます。

日本庭園の技法を知り和風の庭をつくる。

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和風、和モダンな住宅、外構、お庭をつくるために

日本庭園の伝統的な技法を知ることで、きちんと理由があり意味のあるデザインができます。

なんとなくかっこいいからではなく、こういう理由だからかっこいいと、
きちんと理由の言える外構、お庭づくりがしたいですよね。
それは自慢できる、外構、お庭づくりに繋がります。
以上飛び石についてでした。
(参考文献:造園施工必携 一般社団法人日本造園組合連合会)

新しく更新いたしました。竹垣についてご紹介しています。ぜひご覧ください!
リンク⇒和風、和モダンな外構・庭を作るために、日本庭園の伝統技法を知る「竹垣」について

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